「一番大事にしているのは、無理をしないこと。無理をしても続かないので」

こう語るのは、登録者数30万人を超える人気Youtubチャンネル「OKUDAIRA BASE」を主催する奥平さん。お客さんを料理でおもてなししたり、手作りのパンや飲み物をつくるなど、多くの動画にキッチンのシーンが登場します。動画編集と家づくりは似ていて、好きでないと長く続けられないのだそうです。

奥平さんが投稿する動画はYoutubeのために無理をして作ったものではなく、あくまで日々の暮らしを自分のリズムで綴った内容です。動画に流れるゆったりとした空気は「無理をしない」奥平さんの生き方を体現するかのようで、暮らしの発信者としてたくさんのファンに支持されています。

そんな奥平さんは、2021年4月に数多くの動画に収めてきた一人暮らしの家から引越しました。「25歳、東京、一人暮らし。」の肩書で、暮らしを楽しむ衣食住を提案してきた彼が選んだ二人暮らしの新居とは?

コロナ禍がきっかけでリモートワークや地方移住に注目が集まる中、DIYやリノベーションに興味を持ち始めた人も多いのではないでしょうか。完成された家だけが正解ではない。住み始めてからゆっくり育てていく選択肢もあるんだと気づかせてくれる奥平さんのお話には、家づくりを楽しむアイディアが詰まっていました。

新居に選んだのは、築50年以上の光あふれる物件

広さ、間取り、駅からの近さなど、物件選びの条件はいろいろありますが、奥平さんが探していたのは光が入る家でした。いくつか内見に行った中で、窓が多く光がたくさん降り注ぐ今の家に惹かれました。

周りに建物がないので影にならず、常に部屋が明るいのが魅力。庭の竹林でプライバシーも守られているので、いまだにカーテンを付けていません。

「部屋が明るいと気持ちが明るくなるんですよね。来てくれるお客さんたちにとっても居心地が良い空間になると思います」
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奥平さんの新居は築50年を越えていますが、大掛かりな壁の解体工事など、いわゆるリノベーションは済んでおり、今の間取りが完成した状態での入居でした。

「間取りは住み始めた時のままで、収納やキッチンといった部屋の“中身”をDIYで少しずつ改善しています。基本的には、家の中身は工夫すればどうにかなると思っていて。収納などのあとから変えられる要素よりも、光の入り方や部屋の明るさを重視して今の家に決めました」

最初から完璧な物件を求めるのではなく、住みながら自分で使い勝手を改善していくのが奥平さん流の家づくりです。

不便も未完成も、手を加えられる余地と捉えればおもしろい

住み始めたあとも、不満と呼べる点は無いそうです。

「僕はちょっとした一手間を楽しむタイプなので、古い家のように自分が手を加えられる余地がある方がやりがいを感じます。壁に隙間がたくさんあったり、収納が押入れひとつ分しかなかったり、普通なら不満になり得る点はあったはず。ですが、今のところ失敗したなと思ったことはありません。むしろ意外と良かった!と感じることの方が多いです」

例えば、二人分の荷物が入るのかと心配していた押入れも、高さを生かしてDIYで棚を作り設置したことで解決しました。
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また、はじめは気に入らなかった勝手口は、自分で窓枠を付けて窓に見立てたり、収納棚を付けたりして工夫した結果、今では新居の顔へと進化しています。すりガラスから差し込む光が美しい場所です。
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「DIYのモチベーションはちょっとした不便から生まれることが多く、自分なりに工夫して解決する工程が好きなんです」

未完成であればあるほど、自分で手を加えるおもしろさを感じる。そんな奥平さんにとって、小さな不便の種は、暮らしとDIYの原動力なのです。

センターテーブルが主役。リビングとつながる会話が生まれるキッチン

奥平さんの暮らしに欠かせないのが、キッチンと料理。Youtubeチャンネル「OKUDAIRA BASE」でも、料理のシーンが印象的です。

「料理は暮らしの中心です。この家に引っ越してきて、最初に作りたかったのもキッチンでした」
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引越し前のキッチンから改善したかった一番のポイントは、キッチンとリビングをひとつの空間にすることと、その真ん中にセンターテーブルを置くことでした。以前は、リビングとの間に仕切りがあったり冷蔵庫の位置が遠かったりと、コミュニケーションや料理中の動線に不満があったといいます。

新居のキッチンは、コンロや水栓が窓側(壁側)にあるいわゆるI型で、アイランドキッチンではありません。しかし、作業台に特化した大きなセンターテーブルが独立して置かれたことにより、アイランドキッチンのような効果が生まれています。

「料理をしながら会話ができたり、お客さんがいるときは料理しているところを見てもらえたり、コミュニケーションが格段に取りやすくなりました」
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余裕のある、広いセンターテーブルのおかげで、パンを捏ねたり野菜を切ったりといった作業を複数人でも行いやすくなりました。パートナーとふたりで作業をする際のストレスも全くありません。

コミュニケーション面でも、料理のしやすさの面でも、センターテーブルがかなり“いい仕事”をしています。

お気に入りの道具たちが並ぶ、見せるキッチン収納

一方、キッチンとリビングの間の仕切りが収納も兼ねていた前の家に対し、キッチンとリビングがひとつの空間となった今回の課題は収納面でした。そこで登場するのが奥平さんが得意とする、見せる収納です。

「キッチン前の窓枠に木をはめて棚を作りました。幅広の窓に合わせて作った棚なのでかなり収納力が上がりましたし、好きなアイテムを並べられる見た目の仕上がりにも満足しています」
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もうひとつ、冷蔵庫とシンクの間に作ったオーブンを置く棚も、奥行き、高さともに十分で、収納量に貢献。造作棚がピッタリと隙間にはまった時の喜びは、家づくりの楽しさのひとつだと教えてくれました。

窓枠に作った棚も、オーブンを置く棚も、共通するのは見せる収納。

「DIYで作るのは、見せる前提の収納が多いです。お気に入りのアイテムは見えるようにしておくほうがテンションが上がるじゃないですか。置くものはひとつひとつ、買う時にこだわりを持って選んでいるので」
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奥平さんは、使う道具をきちんと選ぶことがすべてに通ずると考えます。以前は深く考えずに買っては捨てる時期もありましたが、道具にこだわるようになってからは料理が楽しくなったり、嫌いだった食器洗いを好きになれたりした原体験があるからです。

また、一つのものを大事に長く使うことは、片付けられる物量を保つ秘訣にもなっています。捨てる基準を「使わなくなったら」と決め、最近使っていないと思ったら手放すのがルールだそうです。

DIYも暮らしも、無理せず楽しく少しずつ

「僕のは丁寧な暮らしではないんです。丁寧な暮らしは努力してやるイメージですが、僕は手を抜くところは手を抜いて、無理せず暮らすのが大切だと思っています。

DIYのコツも同じで、ゆっくり少しずつ、簡単なものから取り組むことをおすすめします。睡眠や食事をおろそかにしてまで一気にやろうとすると、楽しさよりも作業的な印象が強くなります。あくまで楽しめるように、小さな成功体験を作るところからはじめてみてほしいです」
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今回のお話を聞いて、住み始めるときに家のすべてが完成している必要はなく、奥平さんのように少しずつ完成させていく“育てる”家づくりもあると知りました。また、そこに並ぶキッチン道具や家具のひとつひとつがお気に入りの空間を完成させていくのだとすると、まさに住み始めてからが「わたしのキッチンストーリー」の本番なのかもしれません。

無理せず、暮らしを楽しむ視点を忘れずに、できることから進めていきたいですね。
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【奥平さんプロフィール】

奥平眞司(オクダイラマサシ)さん
ユーチューブチャンネル「OKUDAIRA BASE」主宰。愛知県出身。福祉系大学卒業後、桑沢デザイン研究所夜間部にて空間デザインを学ぶ。料理やDIY、物選び、整理整頓、家族や友人を招いてのもてなし、一人キャンプや旅行など、自分の時間をとことん楽しむ方法をユーチューブにて配信。動画制作、キッチンツールのデザインなども行っている。次世代ユーチューバーの育成プログラム「Youtube NextUp 2019」に選出。ユーチューブのチャンネル登録者数は約31.4万人、総視聴回数は約3800万回(2021年6月現在)

Youtubeチャンネル:https://www.youtube.com/channel/UCMWuA3HeWpYUcEpxyjGN3-Q
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Instagram:https://www.instagram.com/okudaira.m/
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