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いつかは広いキッチンで、料理を楽しみたい。そんな憧れを持っているものの、なかなか理想を叶えられないまま、という方、多いのではないでしょうか。

既存の物件ではキッチンの広さに納得がいかなかったり、リノベーションをするにしても、他のスペースとの兼ね合いで頭を抱えてしまったり……。

でもそれって、もしかしたら「1回のリノベーションで全て完成させよう」と思っているからかもしれません。視点を変えてみたり、憧れのイメージを分けてみたら、すぐに実現できる理想もあるのかも?

そう教えてくれたのは、都内のマンションをリノベーションし、広々としたキッチンを手に入れた平山高敏さんです。飲料メーカーでコーポレートコミュニケーションを担当されています。

平山さんの家のキッチンは、白いタイル張りの壁面が印象的で、開放感があります。このリノベーションにおいて、実は設計士さんにお任せしていた部分が多いそう。一方で、リビングの壁の塗装をはじめ、自分たちの手を動かした部分もあるといいます。

初めてのリノベーションをするとき、どこまで設計士さんにお任せしていいのか、そしてどこまでこのリノベーションで実現するのか、迷ってしまいますよね。リノベーションを通じて自分たちの思い描く理想の家に近づけるには、家づくりとどう向き合っていけばいいのでしょうか。

平山さんのリノベストーリーには、そんな悩みを解決するヒントがありました。

人との繋がりを感じられる街を探して

平山さんが現在の家に引っ越したのは、2020年の11月。それまで住んでいた家は、結婚を機に購入した新築で、7年ほど暮らしてきました。しかし新型コロナウイルスの流行で家に対する価値観が変化し、引っ越しを検討するようになったといいます。

「私も妻も在宅ワークが増え、家が手狭に感じるようになりました。あとは、前の家は閑静な住宅街にあったのですが、商店街だったり飲み屋や喫茶店だったり、人との繋がりを感じられる場がある地域で暮らしたいと思うようになったんです。そういったコミュニティの大切さは、コロナ禍でより実感しましたね」

引っ越しを考えてから5軒ほど候補を見たそうですが、なかなか思うような物件には出合えません。そんななか、奥さんが現在の家を見つけてきます。

「築38年と少し古いので、不動産会社からは提案されなかった物件なんです。もちろん古さはありますが、日当たり良好で、広さも約90平米と広々しています。以前の家より広くなり、私の妻とネコの3人暮らしには余裕があるくらいです。近隣には個人店などもあり、“人との繋がりを感じられる”という点でもとても気に入りました」

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ちなみに物件は、最初からリノベーションありきで探していたそう。比較的新しい物件だとワークスペースが確保できそうにない、という理由に加え、コロナ禍で「何かつくってみたい」という気持ちもあったのだといいます。

リノベ会社の決め手は、設計士さんとの出会いだった

物件を決めた後は、リノベーション会社探しへ。不動産会社に紹介されたいくつかの会社を検討しましたが、どれもピンとこなかったといいます。

そんなとき、平山さんが毎月お店を紹介するコラムを執筆している眼鏡店「local」から、とある設計事務所を紹介されます。それが、今回のリノベーションをお願いすることになった「すわ製作所」です。

「すわ製作所」は、「local」の店主の自宅の設計を手掛けたほか、土屋鞄製造所の店舗や著名人の自宅の設計なども手がけてきた工務店。過去には『Casa BRUTUS』をはじめ、多くの雑誌にも掲載されています。

「決め手になったのは、設計士さんと息が合ったこと。設計士さんに初めて家の間取りを見せたら、その場で絵を描いてアイデアを出してくれたんです。その提案がすごく良くて、『この方なら、リノベーションだけでなくずっと関係を築いていけそうだな』と思い、お願いすることに決めました」

ダイニングにワークスペースを確保し、キッチンは広さを重視

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リノベーションの打ち合わせは2020年6月頃から始め、週に2回オンラインで実施。平山さん夫妻の生活スタイルや趣味から、持ち込み家具などの細かい話まで、時間をかけて平山さんのライフスタイルや好みを伝えていきました。平山さんが「最終的にはほとんどお任せしていた」といえる背景には、設計士さんとの間でコミュニケーションを積み重ねられたからでしょう。

なかでも特に力を入れたのは、ダイニングとキッチンです。

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ダイニングには、2人分のワークスペースを確保。キッチンから見ると、ダイニングテーブルの奥の壁側にスペースを設けています。本が多い平山さん夫妻のため、ワークスペースの上部と中央には本棚を作り、収納力抜群で仕事のしやすい環境にしました。

キッチンはアイランド型のようなタイプで、注目すべきはその広さ。一般的なキッチンの幅は250cm程度ですが、平山さんのキッチンの幅は約300cmと、だいぶ広めです。

「前の家のキッチンが250cmくらいだったので、かなり広く感じますね。僕と妻が2人で一緒にキッチンに立って料理を楽しむこともでき、とても満足しています」

ワークスペースとキッチンが同じ空間内にあるので、キッチンに立つことが仕事の息抜きにもなるようです。

キッチンの棚には好きな器を飾り、お気に入りの空間に

キッチンで、広さのほかにもうひとつこだわったのが、壁面のタイル。

「白のタイルを貼りたいというのは最初からリクエストをして、結果的にすごくお気に入りの場所になりました。洗面所にも同じタイルを貼り、統一感を出しています」

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壁にはオープン棚を取り付け、お気に入りの器やグラス、コーヒーメーカー、バルミューダの家電などを置いています。

「最近は器にハマっていて。今は代々木上原にあるレストラン兼ギャラリーの『AELU』で購入した、久保田由貴さんの器を置いています。お気に入りの器が見えるところに置けるので、気分が上がりますね」

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キッチンの奥にはユーティリティスペースを確保し、食材などはそちらに収納しています。壁面のオープン棚とキッチン下部の収納も合わせると、収納力はかなりのもの。そのおかげか、物が多くなりがちなキッチンもすっきりとした見栄えです。

自分たちで塗ったリビングの壁が、家の思い出に

充実のリノベーションにも思えますが、意外にも思い描いていたものがすべて叶ったわけではありません。たとえば、当初のキッチンの理想はダイニングテーブル付きのアイランド型でしたが、設計の関係上それは叶わず。

金銭面でも、最初の見積もりでは予算を大幅にオーバーしてしまったため、優先順位の高いキッチンやリビング周りにお金をかけ、寝室や書斎はほとんど手を加えていません。ほかにも、使用している木材はなるべく安価なものを使用して費用を抑えるなど、細かい工夫もしたそうです。

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さらに、リビングの壁は、3日間かけて自分たちで塗装しました。道具やペンキを揃え、職人さんに教えてもらいながらチャレンジしたのだとか。

「10人くらい友人たちに来てもらって、みんなでわいわいと塗装しました。よく見ると塗りむらもあるんですけど、それも含めて、家づくりに関わったいい思い出です」

リノベーションや家づくりはプロに任せるものと思いがちですが、こうして自分たちの手で作っていく大切さに気づかされます。自分の手を動かすことで、日々暮らす家にもっと愛着が持てそうですね。

これからも、暮らしをつくり続けていく

最後に、リノベーションについてやり残したことを聞いてみました。

「予算の関係であきらめたのですが、キッチンのオープン棚の下に『MOBLEY WORKS(モーブレーワークス)』の棚を設置すればよかったなぁ、と。出来上がってみると、やっぱり欲しくなりますね。今回のリノベーションに後悔はないけれど、数年後にまたリノベーションしたいと思っています」

ほかにも、今回は手を加えなかった寝室や書斎のリノベーションや、実用的な面では窓を二重ガラスにする変更など、まだまだやりたいことはたくさんあるといいます。

一度目のリノベーションを終えて初めて、「ここはこうすればよかったな」「ここはもっと手を加えたいな」という思いが湧き上がるのは珍しくありません。それなら、一度ですべて完成させようとせずに、リノベーション以外の手段も使いながら、より暮らしやすい家を目指して少しずつアップデートしていけばいいのだ、と気づかされました。

取材の始めには「キッチンは設計士さんにほとんどお任せした」と話していた平山さん。ですがお話を聞いていくと、設計士さんとともに家を作っていき、さらには自分たちの手も動かしていたのが印象に残っています。

リノベーションの設計や施工を担当するのは、リノベーション会社や工務店。ですが、暮らしをつくっていくのは、そこで生活する自分たちですよね。

リノベーションは、もっと暮らしやすい家にするひとつの通過点。リノベーションした後も、自分たちの暮らしに合わせて家をつくっていく。そうやって家とともに時間を重ねていく暮らし方、考えてみませんか。

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平山高敏

web広告代理店の広告営業を経て、2012年よりwebメディアのプロデューサーとしてコンテンツ、企画、マーケティング戦略、SNS戦略、ユーザーコミュニティ戦略など全般を担う。 現在は飲料メーカーのコーポレートコミュニケーション部にてnoteを起点としたコンテンツ・コミュニケーションの戦略を担う。

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