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白が映える広い天板に、真鍮の取っ手とグレーのかまち扉で揃えられた、クラシカルなアイランドキッチン。

キッチンに立つと目線の先に広がるのは、モダンな家具が置かれるダイニングと、陽の光がたっぷり入るベッドルーム。

そんなパリのアパルトマンを思わせるワンルームを実現できるんだと、とても驚きました。
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この部屋で暮らすのは、テーブルコーディネーターでありプロップスタイリストの菅野有希子さん。イメージを実現するために菅野さんが選んだ方法は、中古マンションのリノベーションです。

「新築だと理想の物件になかなか出合えなくて。間取りを変えられないのに『もうちょっと広いリビングがいいのにな……』と思ってしまい、心が躍らなかったんです」

せっかく大きな買い物をするのだから、心から「住みたい」と思える家を選びたい……!

菅野さんは調べていくうちに、自分のこだわりを叶える最善策として中古マンションのリノベーションを考えるようになりました。

リノベーションの結果は、「理想どおり」。この住まいで暮らすようになって二年以上が経った今でも、家で過ごす時間に「ときめき」を感じているようです。

そんな菅野さんに聞いてみたかったのは、特にときめきを詰め込んだというキッチンのこと。

中古物件でどうやって理想を実現したの? ときめきと使いやすさをどう両立したんだろう。キッチンリノベーションのあれこれを教えてもらいました。

キッチンを囲む壁をなくして、アイランド型に

菅野さんのお宅におじゃますると、開けたアイランドキッチンが目に飛び込んできます。意外にも、アイランドへのこだわりはなかったのだとか。

「リノベーションする前のキッチンは今と同じ位置で、周囲が壁で仕切られていたんです。建築士さんと打ち合わせを進めていくうちに、キッチンの壁を取り払うほうがいいね、という話になって。結果的にアイランドキッチンになりました」
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キッチンに立つと目の前にあるのは、光が差し込むベッドルーム。ベッドルームを区切る壁を黒フレームとアクリルにしたことで、キッチンに光が差し込むようになりました。

「キッチンに立つと視界がさえぎられないので、ベッドルームの窓まで視界が抜ける気持ちいい空間になりました。朝は陽の光が入るし、夜はきれいな夜景が見えます」

部屋の雰囲気に溶け込むキッチンにしたくて

リノベーションにあたり、菅野さんには譲れないポイントがあったそう。

「リビングからも寝室からもキッチンが見える構造なので、全体の内装とキッチンの雰囲気がマッチするかどうかを重視しました」
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菅野さんは理想や好みのイメージに近い写真を共有し、打ち合わせを進めました。

「ショップやホテルをイメージしながら『Pinterest』で写真を集めたり、内装が好みのカフェやホテルに行って写真を撮ったり。どんな部屋にしたいのかイメージを膨らませていきました」
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キッチンのなかでも特徴的な、真鍮の取っ手のついたグレーのかまち扉。この造作も、建築士さんとの打ち合わせから実現したものでした。

「最初の打ち合わせで、『こういう雰囲気のキッチンにしたいのですが、難しいですよね』と相談したんです。そしたら扉を造作する案を教えてくれました。
結果、外側の板はすべて色を選んでオーダーに。真鍮の取っ手も、部屋全体の雰囲気と合うように提案してもらったものです」

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ビジュアルにとことんこだわる一方で、システムキッチンのメーカー選びやキッチンの機能性は、建築士さんにほとんどお任せしたのだそう。

「ガスコンロやシンクは、タカラスタンダードのものを使いました。コンセントの位置や冷蔵庫の位置、動線の設計は、基本的にお願いしています」

こうして実現された、クラシカルな雰囲気でまとまった部屋とキッチンは、遊びに来たご友人からも「お店みたい」と大好評。プロップスタイリストとして自宅での撮影も多いので、世界観が統一されたことで仕事の幅も広がっている、と教えてくれました。

実用性も重視。収納を確保する方法

世界観と同じくらい菅野さんがこだわったのが、収納です。おしゃれなだけではなく、実用性も兼ね備えたキッチンなのだそう。
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「天板の幅が230cm、奥行きが105cmと、一般的なものより広めに作っています。というのも、キッチンから見て天板の奥側30cm分ほど、すべて収納にしているんです。仕事柄、十分な収納スペースが欠かせないので、キッチンの世界観と収納の確保を両立できるよう、建築士さんに提案していただきました」

他にも収納を増やすため、アイランドキッチンには珍しく、天井には吊戸棚が付けられています。
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キッチンに立ったときに後ろにある壁にも、一面を引き戸の棚を取り付けました。

「ここにはうつわや家電を入れています。飾り棚にする案も検討したのですが、収納力を優先しました。電子レンジや炊飯器などの電化製品も、棚の中にしまっています」

こぼれ落ちた理想も解決! 予算をかけて後悔のないリノベを

理想のキッチンを実現するために、菅野さんがあきらめたことはあるのでしょうか。

「アイランドキッチンにしたので、キッチンの壁をタイル張りにすることは叶いませんでした。タイルデコレーションすることもできたのですが、収納を優先したかったのであきらめたんです」
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キッチンで実現できなかったタイルは、代わりに洗顔スペースで実現したのだそう。

「家全体で考えれば、キッチンだけで理想を実現できなくても、他のスペースで叶える方法があるんですよね。トータルで見てやりたいことをすべて実現できたので、リノベーションに満足しています」
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こだわり抜いた菅野さんの、リノベーション総工費も気になるところ。

「リノベーション費用は、総額1,660万円ほどです。物件とリノベーションのトータル予算を事前に決めていて、物件を想定より安く購入できたので、リノベーションにしっかりとお金をかけました。金額を理由に理想をあきらめて、後悔するのは嫌だなと思って」

総工費のうち、システムキッチン本体の費用は260万円ほど。水道管の位置を変えるような大幅なレイアウト変更はしていないとのことでした。
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実用性と費用面のバランスから、コストカットした部分も教えてくれました。

「この物件は生ゴミを粉砕するディスポーザーの設置が可能なのですが、設置しませんでした。マンションのゴミ捨て場にゴミを頻繁に出しに行く手間とディスポーザーの値段やメンテナンスの手間を天秤にかけて、コストカットを選びました」

理想を叶えた空間と、一緒に時間を重ねていく

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憧れの空間を実現したからこそ、汚れや経年変化が気になるもの。リノベーションから二年以上経った今、菅野さんはどう感じているのでしょうか。

「リノベーションをするにあたって、無理に家をきれいに保とうと思わずに、汚れや経年変化をも味になる内装にしよう、と決めました。例えば、お気に入りのヘリンボーンの床。くすんでいったり油染みができたりすることでこの家らしい味が出るように、あえて無垢材を選びました。

造作した扉に付けている真鍮の取っ手も、だんだんピカピカではなくなってきています。そうなることを見越して、使い込んだ変化を楽しめるように真鍮にしたんです。この家で過ごした時間ごと楽しめるので、ますます愛着が湧きますね」

お気に入りを詰め込んだ空間なら、その変化をも愛せる。一緒に時間の積み重ねを味わえる家は、まさに人生のパートナーのようです。
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最後にリノベーションによる後悔はないのかを聞くと、菅野さんは「後悔しているところが、ぜんぜん思いつかなくて」と微笑みながら答えてくれました。

「わが家のキッチンは、朝起きてから夜ベッドに入るまで、常に目に入っている空間です。二年以上経った今でも、眺めていてもそこに立っても楽しい気持ちになれるキッチンを実現できたので、理想を形にするためにあきらめなくてよかったなと思います」

キッチンだけでなく家全体を一つの空間として捉え、こだわるポイントとお任せするポイントを分ければ、楽しく「ときめき」を追求できる。自分のイメージをビジュアルで伝えれば、プロの提案で新たな選択肢が見えるかもしれない。菅野さんのリノベーションに、そう教えてもらいました。

目に入るだけで嬉しくなるような、一緒に歳を重ねられるキッチン──。あなたの「ときめき」を実現する方法も、きっと見つかるはずです。

菅野有希子
【テーブルコーディネーター /プロップスタイリスト】

会社員を経て2016年独立。雑誌書籍WEBで、食からインテリアまでライフスタイル提案のスタイリングを幅広く手がける。1983年 東京生まれ東京在住一人暮らし。

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