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あんな家にしたい、こういうお部屋がいいかも……! リノベーション予定の中古物件を探すとき、思わず夢を詰め込みたくなりますよね。
でも物件を選ぶときにチェックすべき点が多すぎて、何を優先すればいいのだろう、と迷ってしまうことも。マンションと戸建てでは確認すべき内容が違う場合もあって、なおさら難しい……。でもお家は高いお買い物なので、失敗したくないですよね。
そんな中古物件探しにおいて特に重要なポイントを、今回は3つにしぼって解説します。事前にしっかりチェックして、心地よい暮らしを手に入れましょう。
資金計画

まずは現実的な側面から。中古物件探しで重要なのは、物件価格とリノベーション費用のバランスです。自分の収入・条件でどれだけ借入れできるか把握し、総借入金額から無理のない資金計画を立てましょう。
物件価格が高すぎるとリノベーションにかけられる費用が少なくなりますし、物件価格以外にかかる金額も知っておく必要があります。
物件の購入にかかる費用
運命の物件が見つかったかもしれない……! そう思ったときこそ、まずは冷静に。物件の購入価格が予算内なのかを確認しましょう。
物件価格以外にも、不動産会社に支払う仲介手数料(物件価格の3%+6万円に消費税をかけた金額が上限)をはじめとする諸費用、ローン手数料、保障料、火災保険料、各種税金など、物件価格のおよそ10%にあたる金額も必要です。
【物件購入にかかる諸費用】
費用を支払うタイミング | 必要な項目と目安の費用 |
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売買契約時 | ・手付金(価格の10%ほど) ・購入諸費用(価格の1.7%ほど)など |
物件を引き渡す前 | ・印紙税(2万円)※ローン契約 ・購入物件の残代金(物件価格-手付金等) ・購入諸費用 (中古一戸建て/価格の6%~10%、中古マンション/価格の5%~8%)など |
物件を引き渡した後 | ・リフォーム費用 ・引越し代や家具購入費用 ・不動産取得税 など |
家を買った後の支払い | ・住宅ローンの返済 ・家の所有者にかかる税金 ・管理費 ・修繕積立費 |
【住宅ローンにかかる諸費用】
項目名 | 目安の費用 |
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融資手数料 | 数万円~数十万円 |
契約の印紙税 | 1,000万円超~5,000万円以下の契約:2万円 5,000万円超~1億円以下の契約:6万円 |
抵当権設定登記費用 | 数万円~十数万円程度 |
ローン保証料 | 借入金1,000万円あたり10万~20万円程度 |
購入後にかかる費用
忘れがちなのが、物件購入後にかかる費用。この費用も資金計画に入れておかないと、購入後に慌ててしまうかも。
マンションの場合
毎月必要なのは、管理費や修繕積立費です。駐車場・駐輪場を使用する場合は使用料金が発生するので、金額の確認をしておきましょう。借地権付き物件(※)の場合は、毎月賃借料(地代)が必要です。
※ 借地権付き物件:購入によって建物の権利のみを取得し、土地は地主から借りている状態。
戸建ての場合
将来的に修繕が必要になったときに、まとまった金額が必要です。この費用も視野に入れておきましょう。
・屋根の塗替え:30万円〜
・外壁の塗替え:70万円〜
・ベランダの防水塗替え:10万円〜
・シロアリ防蟻対応:10万円〜
物件選び
たくさんある物件選びのポイントのなかでも、特におさえておきたいポイントを4つに絞って確認してみましょう。調べることが多い項目ですが、ここを頑張ったら理想の暮らしに一歩近づけるはず。
1.立地

物件探しで一番気になるのは、やっぱり立地。「駅から近いところがいいな」「スーパーや学校が近くにあるかしら」など、生活インフラが整っているかを重要視しますよね。
でももうひとつ、楽しく穏やかな暮らしのために欠かせないチェックポイントが、防犯・防災面の周辺環境です。
たとえば事件・事故の発生状況。これは犯罪発生マップで確認できます。防災面は、地域のハザードマップを活用し、地盤の状態や水害・土砂災害、火災などの危険地域に含まれていないかを事前に把握しておくと安心ですね。
国土交通省 ハザードマップポータルサイト
https://disaportal.gsi.go.jp/
戸建ての場合
戸建てだと、マンションと違って「敷地」に関するチェックポイントがあります。後々トラブルにならないように、土地や敷地境界がどこにあるのか、自分の目で見て確認するのがおすすめ。境界があやふやな場合は、隣家と相談して家屋調査士に調査してもらいましょう。
敷地の条件によって、今の建物よりも小さい建物しか建てられない場合などもあります。不安だなと思ったら、自治体の建築指導課に図面を持っていき、将来的に今と同様の建物を建てられるかどうかを確認しましょう。
土地に権利関係(抵当権)はついてないかどうかも、重要なポイントです。登記簿謄本にはさまざまな権利関係が記載されているので、抵当権以外の権利についても確認できます。
2.物件の築年数

住宅の価格は新築の場合が最も高く、年々下がっていきます。戸建ての木造住宅の場合、法定耐用年数が22年となので、築20年以上になると底値に近い価格に。物件によって条件が変わるので、希望条件と価格に見合った築年数を選びましょう。
特に注意したいのは、物件の耐震性です。現行の「新耐震基準」は、1981年6月1日の建築基準法改正後の基準。震度6強~7程度の地震があっても倒壊しないとされており、これ以降に建築確認を受けた物件は適合します。ただし1982年に建てられている物件も、法改正前に建築確認を受けている場合もあるので、いつ「建築確認済証」を受けているか確認しましょう。
マンションの場合
耐震基準適合証明書付かどうかも確認しておきましょう。書類がある場合は、住宅控除(減税)の対象になります。
戸建ての場合
建築時の確認通知書や検査済証があると、正しい築年数が分かって安心です。
3.リノベーションの自由度

リノベーション前提で物件を探す場合、その物件がどこまでリノベーション可能かを確認しておきましょう。
マンションの場合
間取りを変更するためには、壁が壊せるかどうかが重要なポイント。壁で建物の重さを支える壁式構造は、壁を壊せません。間取りの自由度は低くなりますが、新たに壁を造作するコストは減らせます。一方で、柱と梁で建物を支えるラーメン構造の場合は、ほとんどの壁を壊せます。自由度が高いので、リノベーションに向いた構造です。
また、水回りの間取り変更が可能かどうかも、確認しておきたいところ。物件の図面でPS(パイプ・スペース)と記入してある配管スペースは動かせないので、PSの位置によって変更できる範囲が変わってきます。水回りの移動を前提にするなら、マンションの床下設計図(竣工図面)をもらい、リノベーション業者に相談するのがおすすめです。
また、リノベーションできない箇所も事前に確認を。内部見学でチェックしたいポイントは、部屋の広さや天井の高さ・日当たりです。天井や壁の雨漏りの跡、窓付近の結露の跡がないかどうかの確認もお忘れなく。
加えて、管理規約でリフォームやリノベできる範囲が決まっていることもあるので、事前に管理組合に確認しておきましょう。
戸建ての場合
建物の構造がリノベーション向きなのかを確認しましょう。ツーバイフォー工法やプレハブ工法・RC工法は、壁を抜くのは困難です。
また物件の状態もチェックするポイント。外壁や基礎のひび割れはないか、木造の場合は木材の腐朽はないかをしっかりチェックしましょう。
管理状況

物件の管理状態は、購入後のトラブルを防ぐためにも大切なチェックポイント。契約前にしっかり確認しておきたいですね。業者の方と一緒に確認すると、資産状況やご近所トラブルなども教えてもらえるのでおすすめです。
管理状態
マンションの場合
管理組合の運営状況が健全かどうかは、意外にも重要なポイントです。理事会が組織されているか、総会が年に1回以上開かれているか、収支決算は毎年出されているか、といった点を要チェック。
管理費・修繕積立金の滞納がないかどうかも重要です。この回収状況が悪いと、今後の大規模修繕で修繕費を上乗せで請求されかねません。
マンションの管理や資産状況は、依頼するリノベーション会社や不動産会社に聞くと、教えてもらえるケースもあります。購入前に必ず確認しておきましょう。
マンションの管理状態もお見逃しなく。共用設備の清掃が行き届いているか、外壁や共用廊下などのひび割れがないかをチェックしましょう。
戸建ての場合
外壁や屋根、建物の基礎や土台の傷み具合をチェックしましょう。あえて雨の日に見に行くと、雨漏りを確認できるのでおすすめです。
大規模修繕の履歴や予定、建て替え計画
マンションの場合
10~15年周期で行われる大規模修繕の際は、およそ1か月にわたって建物全体が足場で覆われ、洗濯物が干せなかったり工事音がしたりします。いつ修繕予定か確認しておきたいですね。過去の修繕履歴も知っておくと安心です。築40年以上の場合は建て替えの予定があるかもしれないので、ここも確認しておきましょう。
リノベーションは「物件探し」で9割が決まるといわれています。満足のいくリノベーションを実現できるようにポイントをおさえた物件探しをして、自分らしい家で心地よく過ごせますように。